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イベント

第21回日本産業衛生学会 産業医・産業看護全国協議会の自由集会および産業歯科保健フォーラムの報告

2011年11月23日(水)~26日(土)に、アクロス福岡で開催された第21回日本産業衛生学会 産業医・産業看護全国協議会(メインテーマ『社会基盤としての産業保健活動』)において、11月24日には「喫煙と歯科疾患」をテーマに自由集会を、11月25日には「企業を元気にする産業歯科保健」をテーマに産業歯科保健フォーラム開催した。

自由集会では埴岡 隆先生(福岡歯科大学口腔保健学講座教授)に「禁煙・受動喫煙とう蝕・歯周病&健口ケアの知識」のご講演をいただいた。

喫煙による影響についての解説や禁煙支援における歯科専門家の役割とその役割を担える範囲の拡大の可能性や禁煙支援の新たな切り口などの提案があった。禁煙指導用のパネルやオーラルケア製品の解説冊子の紹介、配布もあり、明日にでも活用できる具体的な内容だった。

 また世界的な視点から、口とからだ全体の健康に関して、研究の紹介や口腔の持続的炎症が及ばす影響についての解説があった。糖尿病と歯周病の関係は、以前から影響が強いことが周知されていたが、今後はその他に内臓脂肪症候群や特に心臓血管系の異常について、歯周病菌そのものの影響の他に歯周病の慢性炎症の観点からの関わりを正しく理解し広く適切に説明することが重要になってくると結ばれた。


 産業歯科保健フォーラムでは、築山 雄次先生(医療法人雄之会理事長,佐世保重工業嘱託歯科医師)に、『もし産業歯科保健スタッフが築山ソウルを知ったなら~「企業の元気をつくる」歯科スタッフに、今できること~』をご講演いただいた。

開業医の立場で健保と関わり、ヘルスプロモーションを実践していくことで、母体企業との関係を深め企業の元気を作る活動として認知されていった過程を解説いただいた。以前、産業衛生学会総会において、SSKの経営者が『歯科の活動は、社員に活力を与え会社に利益がある』と明言されたことがあり、必要とされるためには、まずは診療室から飛び出し様々な場面で企業経営者や社員と向き合い、まずは耳を傾け相手が必要とすることを把握し、また相手に必要であることをぶれずに継続してきたことが今日に繋がっているとのことであった。現在、SSKの歯科室を切り盛りし、歯科保健のみならず、新入社員・研修生の研修を行うばかりか管理職の人材育成研修にまでその任を担っているという歯科衛生士の高梨さんにもフロアから発言をいただいた。

企業或いは歯科スタッフが、能動的に歯科保健活動の決定要因をコントロールし改善実践していくプロセスは、まさにヘルスプロモーションであり、築山先生の健康づくり戦略により、ヘルスプロモーションの図にある坂道を、いつの間にか緩やかにしていく、そういった築山ソウルを垣間見ることができたフォーラムであった。

(文責 山本良子 日本予防医学協会)